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ISDNの始まり INSネットが生まれた理由

2022年3月7日
読了時間: 6分

更新日:2 時間前

INSネットが生まれた理由

ISDNとは何か、INSネット64・1500が生まれた理由をBチャネル・Dチャネルの仕組みから図解。電話線のままデジタル化した技術と、ディジタル通信モードの終了まで分かります。

この記事でわかること

  • ISDNとは何か、なぜ「電話線のまま」デジタル化できたのか

  • 「INSネット」の名前の意味と、64と1500の違い

  • 音声とデータを同時に扱う仕組み(Bチャネル・Dチャネル)と、ディジタル通信モードがどうなったのか

ISDNとは? 電話線をデジタルの道に変えたしくみ

ISDNとは、英語のIntegrated Services Digital Network(総合デジタル通信網)の頭文字で、音声もデータも「0と1のデジタル信号」にそろえて、1本の回線でまとめて運ぶ通信方式です。日本ではNTTが「INSネット」の名前でサービス化し、1988年に「INSネット64」の提供が始まりました。

用語メモ

  • デジタル:声や文字を「0と1の並び」に置き換えて送る方式。雑音に強く、音声・文書・画像を同じ道で運べる。

それまでの家庭の固定電話はアナログでした。声の波をそのまま電気の波に変えて送る方式で、通話にはとても向きますが、データを送るには、パソコン側で信号を音に変える機械(モデム)を通す必要がありました。ISDNは、その手間を無くし、電話局までの区間で最初からデジタルのまま扱えるようにしたものです。

なぜ「INSネット」と呼ぶのか?

NTTは1980年代、電話・データ通信・ファクス(FAX)などをひとつの網で扱う構想を進めていました。この構想の名前がINS(Information Network System=高度情報通信システム)です。ISDNはそれを実現するための中心技術で、NTTのサービス名として「INSネット」と呼ばれました。

  • 1988年:INSネット64の提供開始(家庭・小規模事業所向け)

  • 1989年:INSネット1500の提供開始(大規模な事業所向け。資料により年の記載が異なります)

つまり、ISDNは世界共通の技術の名前、INSネットはNTTが付けた日本でのサービスの名前です。「ウォークマン」と「携帯音楽プレーヤー」のように、名前の階層が違うと考えると分かりやすくなります。

ISDNとは何かを示す図:アナログ電話とISDNの違い
ISDNとは何かを示す図:アナログ電話とISDNの違い

1本の線に「道」が3本? BチャネルとDチャネル

ISDNの特徴は、1本の電話線の中に複数の道(チャネル)を作ることです。道には2種類あります。

用語メモ

  • Bチャネル:Bearer(運ぶ)の頭文字。音声やデータの中身を運ぶ道。1本あたり64kbps(キロビーピーエス=1秒に64,000ビット)。 Dチャネル:制御用の道。「誰にかけるか」「相手が出たか」「切れたか」といった合図を運ぶ道。

INSネット64は、規格上の基本構成が2B+Dです。

サービス

道の構成

速度の内訳

主な使い方

INSネット64

2B+D

B:64kbps×2本、D:16kbps

小規模な事業所・店舗など

INSネット1500

23B+D

B:64kbps×23本、D:64kbps

大規模な事業所・大量の回線が必要な所

INSネット64なら、B1で電話、B2でFAXというように、1本の線で同時に2つの通信ができます。また、2本を束ねれば128kbpsのデータ通信にもできます。電話番号を最大で複数持てる点も、後の記事で扱うダイヤルインにつながっています。

合図専用の道があると何が良い?

ISDNでは合図専用のDチャネルがあるため、次のことが可能になります。

  • 通話の中身と合図が別々の道を通るので、仕組みの上で整理しやすい

  • 電話をかけてきた相手の番号を、取る前に表示できる(ナンバー・ディスプレイ)

  • 通話中に別の用件を知らせる、などの付加機能が作りやすい

図にすると、次のようなイメージです。

INSネット64のBチャネル2本とDチャネル1本の構成図
INSネット64のBチャネル2本とDチャネル1本の構成図

当時、何に使われたのか?

ISDNが広がった時代は、パソコンも通信も今とは大きく違いました。主な使い道は次のようなものです。

ポイント

  • ファクス:デジタルのまま送れるため、きれいで速い。

  • パソコンの通信:モデムを使うアナログ回線より速く、安定していた。

  • 店舗の端末:クレジットカード決済端末や、売上を本部へ送る端末など、小さなデータを確実に送る用途。

  • 電話会議・テレビ会議:Bチャネル2本(128kbps)を束ねた映像のやり取り。

小さなデータを確実に、すぐにつなぐ用途に向いていたため、法人の現場では長く使われ続けました。

ISDNはいま、どうなっているのか?

NTT東日本・西日本は2017年に、固定電話をIP網(インターネットの技術を使った網)へ移行する計画と合わせて、ISDNの「ディジタル通信モード」の提供を2024年1月に終了することを公表しています。あわせて、データ通信を続けたい利用者向けに、補完策として「INSネット上のデータ通信」が用意されています。

用語メモ

  • ディジタル通信モード:INSネットのうち、Bチャネルでデータ通信(FAXのG4や、店舗の端末通信など)を行う使い方。音声通話のモードとは区別して案内されます。

ISDN回線につないでいた端末(古いPOS、決済端末、警備・遠隔監視の機器など)がある場合は、どの機器が通信にISDNを使っているかを洗い出しておくことが大切です。具体的な切り替え方法は、NTT東日本・西日本の最新の案内で確認してください。

よくある質問

Q. ISDNとINSネットは同じものですか?

A. 近い関係です。ISDNは国際的な技術の名前、INSネットはNTTがその技術で提供したサービスの名前です。

Q. ISDNは光回線とは別物ですか?

A. 別物です。ISDNは銅線の電話線(メタル回線)を使うデジタル通信、光回線は光ファイバーを使う通信です。ただし、光回線の電話サービス(ひかり電話)でも、複数の番号を使う考え方などが引き継がれています。

Q. いまISDNを使っている会社は何をすればよいですか?

A. まず、ISDNの回線につながっている機器(FAX、決済端末、監視機器など)の一覧を作ることです。そのうえで、各機器のメーカーと回線事業者に、切り替えの方法を確認します。

確認問題

答え合わせをしてみましょう

  • 問1 INSネット64の基本構成を「B」と「D」を使って表すと、どうなりますか。 答え:2B+D(Bチャネル2本とDチャネル1本)。

  • 問2 Bチャネル1本の速度は何kbpsですか。 答え:64kbps

  • 問3 Dチャネルは何を運ぶ道ですか。 答え:電話をかける・つながる・切れるなどの「制御の合図」。

まとめ

  1. ISDNは、音声もデータもデジタルで運ぶ通信方式。NTTのサービス名が「INSネット」

  2. INSネット64は1988年、INSネット1500は1989年に提供開始

  3. 1本の線の中に、中身を運ぶBチャネルと、合図を運ぶDチャネルがある

  4. INSネット64は2B+D(64kbps×2+16kbps)、1500は23B+D(64kbps×23+64kbps)

  5. ディジタル通信モードは2024年1月に提供終了の予定(NTT東日本・西日本が2017年に公表)

参考にした情報

コトバンク「ISDN」(提供開始時期ほか) https://kotobank.jp/word/ISDN

NTT東日本 ニュースリリース(2017年10月17日 固定電話のIP網移行とISDNディジタル通信モードの扱い) https://www.ntt-east.co.jp/release/detail/pdf/20171017_01_01.pdf

NTT東日本「ダイヤルインとは」(INSネットの種類) https://business.ntt-east.co.jp/column/denwa/dial-in.html

監修:株式会社日本マーケティング 編集部

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