損益分岐点の考え方 どれだけ売れば黒字か
更新日:2 時間前
どれだけ売れば黒字か
損益分岐点とは何かを、固定費と変動費の分け方から図解。限界利益(粗利)の出し方、損益分岐点の売上高と販売数の計算式、価格と数量の関係を、小さなお店の例題で分かりやすく解説します。
この記事でわかること
損益分岐点とは何か、なぜ知っておくと役に立つのか
費用を「固定費」と「変動費」に分ける考え方
損益分岐点の売上高と販売数の計算の仕方(例題つき)
損益分岐点とは?
損益分岐点とは、利益がちょうどゼロになる売上高(または販売数)のことです。これより売上が多ければ黒字、少なければ赤字になります。中小企業向けの公的な情報サイト「J-Net21」(中小企業基盤整備機構)でも、損益分岐点売上高は「利益がゼロになる売上高」として説明されています。
新しく商品を出すとき、お店を開くとき、値段を変えるときに、「最低でもどれだけ売ればよいか」を数字でつかめるのが、損益分岐点を知ることの利点です。
用語メモ
損益分岐点売上高:売上と費用がちょうど同じになる売上高。BEP(Break-Even Point)とも呼ぶ。
費用を「固定費」と「変動費」に分ける
損益分岐点を計算するには、まず費用を2つに分けます。
分け方 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
固定費 | 売上が増えても減っても、ほぼ同じだけかかる費用 | 家賃、正社員の給与、リース料、保険料 |
変動費 | 売上(販売数)に比例して増える費用 | 仕入れ代、材料費、販売ごとの手数料、送料 |
たとえば、お店の家賃は、商品が1個も売れなくても毎月かかります。一方、仕入れ代は売れた分だけかかります。
実際には、電気代やアルバイトの人件費のように、どちらとも言い切れない費用もあります。最初は細かく分けすぎず、「売上に合わせて増えるか」で大まかに分けることから始めて問題ありません。
限界利益(粗利)とは?
売上から変動費を引いたものを限界利益と呼びます。商品1個あたりで考えると、「1個売るごとに、固定費の支払いに回せるお金」です。
限界利益 = 売上 − 変動費
限界利益率 = 限界利益 ÷ 売上
たとえば、800円で仕入れた商品を1,000円で売る場合、1個あたりの限界利益は200円、限界利益率は20%です。
用語メモ
限界利益:売上から変動費だけを引いた利益。売上総利益(粗利)と近いが、粗利は売上原価を引いたもので、計算の範囲が少し違う。
損益分岐点の計算方法は?
利益がゼロになるのは、限界利益の合計が、固定費とちょうど同じになったときです。ここから、次の2つの式が出てきます。
損益分岐点の販売数 = 固定費 ÷ 1個あたりの限界利益
損益分岐点売上高 = 固定費 ÷ 限界利益率
例題で計算してみましょう。
項目 | 数字 |
|---|---|
売値 | 1個1,000円 |
仕入れ値(変動費) | 1個800円 |
家賃(固定費) | 月20万円 |
人件費(固定費) | 月10万円 |

つまり、このお店は月に1,500個(150万円)売ってようやく利益がゼロです。1,501個目から黒字になります。

価格と数量の関係は?
損益分岐点の考え方を使うと、値段を変えたとき、何個売れば同じ利益になるかも計算できます。上の例題で考えます。
売値 | 1個あたりの限界利益 | 損益分岐点の販売数 |
|---|---|---|
1,100円(100円の値上げ) | 300円 | 1,000個 |
1,000円(今の値段) | 200円 | 1,500個 |
900円(100円の値下げ) | 100円 | 3,000個 |
100円の値下げで、黒字に必要な数は1,500個から3,000個へ2倍になります。限界利益が小さい商品ほど、少しの値下げで、必要な販売数が大きく増えるのです。値下げを考えるときは、この計算を先にしておくと判断を誤りにくくなります。

損益分岐点を下げるには?
損益分岐点を下げる(少ない売上で黒字にする)方法は、式から3つに整理できます。

どれも、変えたらもう一度計算し直すことが大切です。毎月の実績を表計算に入れておけば、損益分岐点に対して今月がどのあたりにいるのかを、月の途中でも確かめられます。
よくある質問
Q. 固定費か変動費か迷う費用は、どうすればよいですか?
A. 最初は「売上が2倍になったら、この費用もおよそ2倍になるか」で判断します。迷うものは、ひとまず固定費に入れておくと、見込みを甘くしすぎずに済みます。
Q. 損益分岐点は、どのくらいの頻度で計算し直せばよいですか?
A. 家賃や仕入れ値、売値など、費用や価格が変わったときには必ず計算し直します。変化がなくても、毎月の実績と一緒に確かめておくと安心です。
Q. 複数の商品を売っている場合はどう計算しますか?
A. お店全体の売上と変動費から限界利益率を出し、「固定費÷限界利益率」で損益分岐点売上高を計算する方法があります。商品の売れる割合が変わると結果も変わる点に注意します。
確認問題
答え合わせをしてみましょう
問1 売値1,000円、変動費600円、固定費が月20万円のとき、損益分岐点の販売数は何個ですか。 答え:500個(20万円÷400円)
問2 売上から変動費を引いたものを何と呼びますか。 答え:限界利益
問3 家賃は、固定費と変動費のどちらですか。 答え:固定費
まとめ
損益分岐点は、利益がちょうどゼロになる売上高(販売数)
費用は「固定費」と「変動費」に分けて考える
限界利益=売上−変動費。1個売るごとに固定費に回せるお金
損益分岐点の販売数=固定費÷1個あたりの限界利益
限界利益が小さいほど、値下げで必要な販売数が大きく増える
参考にした情報
J-Net21(中小企業基盤整備機構)「損益分岐点を使った目標売上高」 https://j-net21.smrj.go.jp/startup/manual/list5/5-2-9.html
J-Net21(中小企業基盤整備機構)「損益分岐点の計算方法と経営改善に向けた活用方法を教えてください。」 https://j-net21.smrj.go.jp/solution/qa/accounting/Q0240.html
監修:株式会社日本マーケティング 編集部
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